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もう一つの島の時間

島の時間はゆっくりと流れている。
という耳触りのよい決まり文句が好きではない。島の人たちが夜も明けきらぬうちから
畑仕事や漁に出たり、庭の掃除をしたりするのを見ているし、人口が少ないのに行事が
多いから老人も子供もそれなりに忙しそうだ。

 島に足を踏み入れる時はいつも期待と不安が交錯する。
島が快く迎え入れてくれたと感じる時は得も言われぬ心地よさがあるが桟橋から集落へ
向かいながらなにか違和感を抱くこともあるのだ。そういう時は島のどこにいても島そ
のものに見られているような気がしてならない。

 以前は島の主体は人間であると思い、島という大地そのものに意識が向くことはそれ
ほどなかったが、今は島という確かな存在があり、そこで人や動物が生かされているの
だと考えている。それは地球全体についても同じことなのに東京で生活しているとそう
いう意識をなかなか持つことができない。

 沖縄では村のこともシマという。シマはひとつの共同体で互いに助け合い、先祖の墓
を大事にして、長寿者を敬い、伝統行事を守ってきた。

 島の中にシマがあり島人が居る。それぞれの時間が流れている。
 
 

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